ダークモードとライトモード

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スマートフォンにダークモードが搭載されてから、Widowsの世界にもダークモードが搭載されるようになった。
ダークモードは画面の背景を黒基調に変える機能で、目に優しく暗い場所でも見やすいとの触れ込みで、まるで新機能のように大々的に宣伝している。

Windows世代の方は確かに目新しいだろう。しかしDOSより古い老兵世代の方は、むしろダークモードが普通だった。昔に戻った感じがする。
今でもWindowsのコマンドプロンプトをを立ち上げると、黒の背景に白文字だ。
別に白の背景に黒文字でも全然構わないのだが、やはり黒の背景でないとしっくりこない。

当時ダークモードが主流だった理由は定かでは無いが、やっぱり視認性の問題だろう。
DOSの時代はブラウン管が主流だったが、電子銃が画素を直接発光させる仕組みだったため、発光する箇所が多いと非常に眩しいのだ。
またずっと光らせると焼き付きという現象を起こして、その画面が薄く残ってしまうことがあり、高価なモニターがダメになることもあった。

当時は漢字を16pix*16pixで表現するのが主流で、現在のディスプレイに表示するとジャギーと呼ばれるカクカクした感じで表示されてしまう。
今だとアンチエイリアシングという機能で改善しているのだが、ブラウン管モニターは何もしなくても微妙に滲んでしまうのでジャギー感が薄れる特徴があった。
当時のゲームなんかも、ドット絵はこの特性を利用していた。
(本当は滲むのは良くない)

技術的に白の背景に黒文字にすることもできたのだが、ブラウン管だと画面が非常に眩しいし、文字の黒の部分が滲んでしまって、線が細くなり非常に見えにくかった印象だ。
また蛍光体の残光を利用してちらつきを押さえていたのだが、画面スクロールすると必然的にほんの一瞬だが全体が真っ白になってしまう。
そのため長時間の利用に耐えられそうもなかった。老兵の実体験である。

そのためDOSのアプリケーションはダークモードが主流だった。唯一の例外が画像編集ソフトくらいなものだろう。これだけは白背景が標準だった。
当時主流だったワープロソフトの一太郎Lotus 1-2-3なんかも黒背景が基本だ。もちろん印刷時は白黒反転されたのだが、それが普通だったので何とも思わなかった。カラーを使用した場合はもちろんそのままだ。
そんな訳で、もっと古いBASICや汎用機の端末なども全て「ダークモード」が基本だった。

今はほとんど使われていないが、20世紀の頃は「WYSIWYG」という言葉が流行った。
「What You See Is What You Get」のことで、見たままが得られるという意味である。
Windowsはこれを目指していて、例えばMicrosoft Wordなんかはその通りであろう(異論はあると思うが)
DOSの時代は印刷プレビューはあるものの、印刷してみるまではどのように印刷されるのか全く分からないのが普通だった。
入力画面と印刷画面は全く一致していない。入力画面ひたすら文字を入力するだけだ。
なんなら行ごとの画面文字数と印刷文字数も一致していないので「1行に収まったと思ったら印刷すると2行になり、しかも改ページまで発生してしまった!」なんてざらにあった。
今でもExcelがそんな感じだが、Excelのほうが全然マシである。

それを防止するにも「WYSIWYG」の考え方は大切だった。
画期的な考えだったのだが、印刷する紙は通常「白」である。そのため白を基本にしないと何かと都合が悪い。
またGUIのOSはファイルやアプリケーションをアイコンで表現するのだが、黒背景だと返って見栄えが悪かった。
そのためWindowsは昔から白背景が標準だ。

DOSの時代「ダークモード」が主流でありつつも亜流もあった。「ブルーバック」である。
今はブルーライトとかで嫌われるし、ブルースクリーンなんかでイメージが悪いが、文字は白のまま「ダークモード」を維持しつつ背景を濃い青ににして視認性を良くしたものだ。

黒背景に黄色文字だと白文字と判別がしにくいのだが、ブルーバックにすると補色の関係で黄色がよく見えた。
ソフトウェアにもよるがDOSの時代は改行記号を黄色文字で表現することが多く、プログラマーには好まれた配色だ。今でもWindowsのPowerShellなんかに名残が残っている。

ブルーバックで有名なソフトだと、今でもあるメガソフト社のMIFESというテキストエディタである。青背景に白文字だ。
DOSの時代だと遠目に見てもMIFESと分かるくらい有名なソフトだった。
ファイル管理ソフトのFDと呼ばれるソフトも、基本はブルーバックだった。
もっと古いのだと、MSXと呼ばれるパソコン入門機のBASICがブルーバックだった。これは家庭用のテレビに接続するため、かえって見えにくかったような。。。
今はUEFIに置き換わったが、いわゆるBIOS画面もブルーバックのものが多かった。
ブルーバックのソフトは意外と多かった印象だ。

さらに異端だと「濃い赤」を背景にしたエディタも存在した。確か論文で最も目に優しい配色とうたっていたが、まったく流行らなかった記憶がある。確かに見やすい気がしたのだが、なんか違うという配色だった。

そんな訳で、老兵は現在でも「ブルーバック」をよく利用しているのだ。

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