「Wi-Fi 7」と呼ばれる規格が日本でも2023年12月から解禁された。
現在、次々と最新モデルが各社から発売されている。まだまだ新しい規格ということで、パワーユーザーを中心に普及が進んでいる感じだろう。
実のところ次の「Wi-Fi 8」という規格も策定中で、2028年頃には登場するのでは無いかと言われている。

たまに最も古い規格がIEEE 802.11bで11Mbpsという記事を見かけるが、実は802.11(無印)という規格が最も古く1997年に策定された。たった2Mbpsだった。
この時代にもノートパソコンはあったが、10Base2が残っている会社は、こんなカードを使用していた。左側のRJ45は現在と同じなので分かるだろうが、出っ張っている銀色のこのコネクタは何?って方に差し込んで通信していた。
しかもただ繋げば良いのでは無く、T字型のコネクタを使用してPCを珠々つなぎにするのだ。
HUBと言う物は無い。1本のケーブルに全PCを接続する。終端もT字コネクタを使用して、ターミネータと呼ばれる端子を接続するのだ。
ノートパソコンの場合、PCMCIAというカードで拡張するのだが、不格好で非常にケーブルが邪魔になった。
しかも誰かが通信中はコネクタを外してはならない。抜く必要があればカードごと抜く方が安全だ。一応このカードは電源が入っていても抜き差しOKなのだが、コネクタを抜くとノイズが入って通信不能になることもあった。そのため10Base2は、ほとんどデスクトップがメインだった。
こんな不格好なものが一切無くなったのは、無線LANのおかげなのである。
10BASE-Tが普及し始め取り回しが大変楽になったが、さらに無線になると快適そのものだ。
この時代に実際に無線LANを使用したことはなかったが、2Mbpsでも衝撃的なニュースだった
その後すぐに802.11b規格が策定され11Mbpsとなり、ある程度実用的な速度となった。
同時に802.11aという規格が策定され、こちらは54Mbpsで当時では驚異的な通信速度だった。
2000年を超えたあたりでは100BASE-TXが普及しており、802.11bについては条件の良い環境で5Mbps位と実効速度の割に非常に高価だったため、一般には普及が遅れた。802.11aについてはさらに高価で、特に日本においては電波法の関係で、ほとんど見かけることはなかった。
この状況から一変したのが、2003年のIntelの「Centrino」ブランド戦略である。
細かい条件はあるものの、このブランドを満たすにはモバイルPCに無線LAN搭載が必須となった。
一般的に802.11a/bの時代までは「Wi-Fi」という言葉は無く、「無線LAN」が一般的だった。正確には無線通信の規格なのだが、Intelが「Centrino」のブランド名を普及させると同時に「Wi-Fi」という名前も普及した。
ちょうど2003年IEEE 802.11gという規格が制定され、2.4Ghz帯で54Mbpsの速度がでるようになり普及が加速した。実効速度で20Mbps位でるので、今でも最低限の通信速度は満たしているだろう。
2004年には当時の802.11aに対して日本向けに802.11jという規格が制定され、日本でも5Ghz帯の利用が可能になり非常に高価だったが、こちらはパワーユーザーには好まれた。
ノイズが少なく、2.4Ghzよりも安定していた。J52という周波数帯の規格だ。
しかし折角規格化されたにも関わらず、翌年2005年に電波法が改正され、国際的に一般的なW52の周波数帯に合わせるようになった。加えてW53も利用可能となった。
J52は普及前に姿を消すこととなる。一応多くのWi-Fiルーターはファームウェアのアップデートを行うとW52にすることはできたが、一度アップデートすると元に戻すことはできなかった。子機の方はJ52,W52,W53と利用できるものが発売されていたが、モバイルPC内蔵のWi-FiはW52,W53のみがほとんどだったし、コストダウンのため5Ghz帯への接続ができないものが多数だったので問題はなかった。
現在においてもJ52を利用できるのだが、存在を知っている方はほとんどいないだろう。

そもそもが対応しておらず、こんな感じで表記され使えないのが一般的だ。

初期のころは、802.11gのPCMCIAカードと親機がセットになったものが発売されており、モバイルPCと一緒に購入することも多かったが、後半になるとPCに内蔵され802.11gへの接続が標準で可能となった。
もちろん親機は買わないとならないが、この時期多くのプロバイダーがキャンペーンで802.11gの親機をばらまいたので、これを利用する人が多かった。
ちなみに老兵もキャンペーンで貰い、これが初めてのWi-Fi親機だった。
2009年になると、最大600Mbpsの速度が出せる802.11nという規格が制定された。
後のWi-Fi4と呼ばれる規格である。
通常は規格が制定されてから機器を販売するのだが、この世代から制定前のドラフト段階で販売することが普通になった。自身が所有しているThinkPad X61も同じで、カタログ上はIEEE802.11a/b/gのみ対応で802.11nは利用不可なのだが、実際は制限があるものの利用できる。
親機なんかも同じで、制定1年以上前から後にファームを書き換え前提でのフライング発売をしていた。もちろん対応とは一切書いておらず、わかる人向けに「11n技術採用」とかちょっとぼかして販売していた。
特徴は、2.4Ghz帯と5Ghz帯の両方とも高速化されたことだ。実際にパワーユーザーの5Ghz帯利用が普及しはじめたのはこの頃からだろう。
600Mbps出せる機器も発売されたのだが、実際には2.4Ghz帯のみ使用可で300Mbpsのものが一番普及した。ただ電波状況の関係で300Mbpsは標準設定になっておらず、144Mbpsになっているものが大半だ。もちろん手動で300Mbpsの設定にすることもできるのだが、混雑している環境では、返って遅くなることも多かったため、わかる人向けの設定なのである。実は現在においても同じだ。
5GHz帯は最初から300Mbpsの設定になっているのだが、コストが高く当初は上位機種のみの搭載だった(実際に一般ユーザーにも5Ghz帯が普通に使われだしたのは、802.11acが普及してからである)
さらに600Mbpsのものは子機が対応しておらず別途購入する必要があった。
有線LANは1000Base-Tが普及していたのだが対応しているのは上位機種のみで、エントリー機は実情に合わせて100BASE-TXのままとしてコストダウンした機種が多く発売された。
後の802.11ac(Wi-Fi5)までは同じで、433Mbps対応のエントリー機は100BASE-TXのままだった機種も多い。
802.11n(Wi-Fi4)になると、一般的な利用において通信速度に不満がでることが少なくなった。同時にスマートフォンが普及をはじめ、有線LANは段々と使われなくなっていった。



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