定まらない表記のコンピューター用語

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先日、Googleより「Gemini」の日本語表記は「ジェミニ」という発表があった。
発表するまでも無く既に「ジェミニ」が主流だったのだが、「ジェミナイ」と呼ぶ方もそれなりにいたし、ごく少数だがローマ字読みの「ゲミニ」という方もいれば、さらに「ゲミナイ」と読む方も居た。
これらはGoogleで検索すると、ちゃんと全部「Gemini」にたどり着くので、全部正しいとも言える。
ただ「ジェミニ」と読んでいる人が「ゲミナイ」と聞くと、同じ物だと判断できる人は少ないだろう。これは意外と困るのだ。こうして発表されると、エンジニアとしてはとてもありがたい。

残念ながらIT関連は日本初ということが少ない。ほとんどはアメリカだとかで生まれるため外来語がほとんどなのである。
古の時代は一部の方を除いて雑誌からの情報が最も早く、最初の記事の日本語表記が優先された。
PC関連の雑誌会社はいくつかあったが会社ごとに用語は統一されるので、表記のブレは少なかった。
それが海外初の情報が、いち早く一般ユーザーにも届くため、色んな読み方をされるようになった。
本来であれば開発元の発音に従うべきだろうが、日本語だと正しく発音ができないため表記を工夫する必要がある。
このとき、なるべく原音に近くするか、日本語として発音しやすいかは、その人次第だ。
こうしてGoogleが「ジェミニ」と表記すると発表することは、どうでもいいことのようで、結構重要だったりする。

ちょうどインターネットが一般ユーザーへ接続された頃、1990年代後半から2000年代初頭にかけて表記と読み方の戦国時代だった。
一番有名なのがLinuxだろう。今は「リナックス」でほぼ統一されているが、実に多種多様な読み方がされた。
ライナックス、リヌクス、リナクス、リヌックス・・・など、多種多様な読み方や表記があった。
個人においてはもちろん、雑誌等でも表記が揺れた。
文字にするときはLinuxと書くので混乱は無かったのだが、なぜかLinuxの日本語表記だけは分断され統一されることは無かった。しかも自分の表記が正しいと誰も譲らない。
当時、Linuxそのものは造語なので、英語圏も含めて当初正しい発音は存在しなかった。
開発者のLinus Torvalds氏がフィンランド出身だったため、実は海外においても英語圏での発音の揺れが原因で、さまざまな呼び方が混在していた。

この混乱に終止符を打つため、Linus Torvalds氏本人が
“Hello, this is Linus Torvalds, and I pronounce Linux as Linux!”
という音声ファイルを公開した。
開発者本人はそう発音しているのなら、それを尊重しようとし、日本人にとっては「リナックス」と聞こえるのが最も自然だったため、日本においては「リナックス」で統一され一気に混乱が収束された。

ChatGPTにおいては当初より「チャット・ジー・ピー・ティー」と読むのが一般的だ。ただ既に若い方を中心に「チャッピー」と略して呼んでいる。
Google等で検索すると「チャッピー」でも、ちゃんとChatGPTにたどり着くので一般的な言葉になっている。
老兵世代の方はChatGPTは知っていても良く分かっていない方が多い。
そんな中、若い方に『「チャッピー」だと○○って言ってます!』とか言われるわけで、???な人が多発している状況だ。
用語を知っていても、他の読み方に置き換わっており、そのスピードについて行けていないという状況に変わってきている。

自身で未だに納得がいかない日本語表記で「PING」がある。
ネットワーク上で自分と相手が正しく通信できるか?通信できるのであれば、応答速度などを確認するためのコマンドラインのツールである。

C:\Users\www.nouno.com>ping 192.168.1.1

192.168.1.1 に ping を送信しています 32 バイトのデータ:
192.168.1.1 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=64
192.168.1.1 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=64
192.168.1.1 からの応答: バイト数 =32 時間 =1ms TTL=64
192.168.1.1 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=64

192.168.1.1 の ping 統計:
パケット数: 送信 = 4、受信 = 4、損失 = 0 (0% の損失)、
ラウンド トリップの概算時間 (ミリ秒):
最小 = 0ms、最大 = 1ms、平均 = 0ms

こんな感じで実行するのだが、ネットワークエンジニアだと基本中の基本のコマンドだ。
これは一般的には「ピング」と表記される。

ただ、初期のネットワークから触っている方は「ピン」という表記が一般的だった。
1990年代後半にかけて、爆発的にインターネットへ接続するPCが増えたわけだが、それに伴い「ピング」と発音する方が異常に増えた。
2000年代に入ると、既に「ピン」と発音すると通じなくなりつつあった。
その為か、この頃は「ピン」と発音する方は、それなりの経験を持った方ばかりだった。当たり前にネットワーク関連のプログラム開発ができる方達ばかりである。
「ピング」と発音する方は同世代でも技術に劣る方が多く、ある程度のスキルチェックにもなったものだ。

2000年代半ばになると、本当に「ピン」は全く通じなくなった。それどころか、あの人全然知らないんじゃ無いの?扱いになってしまったのである。
おまえらピンポン(PingPong)を「ピングポング」と言ったり、香港(HongKong)を「ホングコング」と言うのか???とイライラしていたものだが、主張したところでどうにもならないので、自分も意図的に「ピング」と言うように心がけている。

あれから実に20年位経っているが、未だにとても気持ちが悪い。。。
もちろん心の中では未だに「ピン」である。

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